トマトサラダのページ(2013/07/21)でガスコンロのエネルギー変換効率についてお話を致しました時に、「厳密に言えばガスの火がどれだけ水に伝わったかが重要な要素になるのですが、残念ながらそこまで計測する設備がありません」と記しましたが、その設備は有りました。
都市ガスを導入されている家庭なら当然付いているガスメーターです。
カウンタ部の表示は1立方メートル未満3桁と最小桁の右には0.0002立方メートル単位の目盛りがあります。
こんなに細かい値が読めるとは全くうっかりしていましたね。
早速調査してみました。
大鍋に4リットルの水を入れ、火力最強の状態で10分間沸かし、ガスの燃焼による発熱量に対する水の温度変化量からガスコンロの湯沸し時の熱効率を測定した結果を下に記します。
ガスは都市ガスの13Aで、1立米当たり45Mj(メガジュール)です
度量衡表から1j=0.2389 calで計算いたします。
時間 |
|
メーター値 | 温度 | ガス消費量 | 発熱量 | 吸収熱量 | 効率 | |||||
(分) |
|
(㎥) | (℃) | (㎥) | (cal) | (cal) | (%) | |||||
0 |
6521.2782 |
14.5 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||||||
5 | 6521.3105 | 56.0 | 0.0323 | 347241 | 167200 | 48.2 | ||||||
10 | 6521.3425 | 94.5 | 0.0320 | 344016 | 154000 | 44.8 |
想定以上の効率で少々驚きました。
この表で前半5分間の熱吸収効率が後半5分間より高いのは水温が低いほど炎の熱を吸収しやすいことと後半は吸収しにくくなることに水の気化熱による損失が想定されます。
10分を超えたところで沸騰が始まり、当然温度上昇は頭打ちになり、測定を終了しています。
以下の考察では効率を45%とします。
トマトサラダのページに戻り、15℃の水1㍑を沸かして300gのブロッコリーが軟らかく茹るまで加熱するとして再考いたします。
水の沸騰には85,000calを要し、効率は45%、湯が沸いてからブロッコリーを投入し、軟らかく茹るまでは更に加熱を続けるわけですが、そのエネルギーは沸騰までの1/2として計算します。
85,000calを45%の効率で水に伝えるには
85,000/0.45≒188,889cal、約790,689jを要しますね。
300gのブロッコリーを15℃から100℃に加熱するにはブロッコリーの重量相当の水に置き換えて計算すると
300×85/0.45≒56,667cal 約237,207jを要します。
ブロッコリー投入後再沸騰してから茹で上がるまで100℃を維持するためのガス量は推測で加熱に要したエネルギーの半分程度として計算させて頂きますと
(790,689+237,207)×1.5=1,541,844j
これに対して電子レンジで5分間レンチン加熱した場合、トマトサラダのページにある電子レンジ700W出力時消費電力1.22kwで5分動作させたときの消費エネルギーは
1220×60×5=366,000j です。
発電所の熱変換効率を30%とすると
366,000/0.3=1,220,000j です
比較すると
ガス/電気=1,541,844/1,220,000≒1.264
やや電気のほうが効率がよく、二酸化炭素発生量では平成24~26年度の平均で火力発電は86%(東京電力ホームページから)ということで
1,541,844/(1,220,000×0.86)≒1.47
結果ガスコンロではレンチンクッキングよりも1.47倍の二酸化炭素を発生させるという結論も得ることになりました。
では金銭面での比較をするとどうなるでしょうか。
ガスは種別13a、1㎥あたり45,000,000jの熱を発生しますので
1,541,844j/45,000,000j=0.0343立方メートル
ガス料金は基本料等を含めて200円/㎥とすると
200×0.0343=6.86円 です。
電気料金は基本料等を含めて30円/kWhとすると1.22kWの電子レンジ5分間の電気代は
30×1.22×5/60=3.05円 です
価格面でもレンチンクッキングは優位にありますね。
蒸気加熱クッキングなどの省エネ調理法を用いればガスを使ったほうが有利にもなり得ますが、私の考察はここまでとさせていただきます。